TSP WEB講座  【講座予定】
   
  【第1回】 CAD製図基準(案)の実態  
    2004年10月
   
   
   国土交通省の基準のひとつ、CAD製図基準(案)はわれわれ請負業者にとって最も煩雑で難関となる基準であるといえます。  
  他の基準はファイル名や納品形式さえ間違わなければ、特に難しいものではなく、日常業務をこなしていくうちに慣れることと思われるし、便利なツールを利用することによって、問題なく『電子納品』を行うことができます。  
   しかし、CAD製図基準(案)の場合には、ファイル名や納品形式はもちろんのこと、いままで個々に利用しているCADの利用方法をある程度見直す必要があるのです。  
  たとえばレイヤや線種、線の太さ、線色、文字の大きさなどが代表的な例です。  
  これらは電子納品の対象となる業務を行うCAD利用者が覚えておかなければいけない最低限の内容になります。  
  ※CAD製図基準(案)の基本についてはこちらを参照してください。  
   
  ココまで覚えるだけでも結構な労力が必要となります。
そして巷では『電子納品』はここまでの作業の事しか考えられていないのが実情だと思います。
 
   
   今回皆さんに理解していただきたいのは「基準に従った図面さえ作成すればよい」というのは机上の理論であるということです。
本当の『CAD製図基準(案)に従った電子納品』の実態とは、これよりもさらに奥が深いのです。
 
   
   それでは、どのような実態があるのか説明していきましょう。  
   
  実態として挙げられるのは主に3つあります。  
   
     
  @ CAD製図基準(案)は国土交通省の基準であり、  
     日本道路公団などは異なるCADの基準が存在する。  
  A CAD製図基準(案)による製図をした場合の不具合  
  B SXF変換による図面の不整合性が発生する。  
     
   
  などが挙げられます。  
   
  これらはレイヤなどをすべてCAD製図基準(案)に従って図面を作成しても問題になる事項であるのです。  
   
  それではこれらの実態をひとつずつ解説していきましょう。  
   
  @について】  
  日本道路公団ではCAD製図基準(案)とはファイル名のつけ方から異なる、『CADによる図面作成要領』という基準があります。  
   当然、基準が異なれば内容も若干異なります。つまり発注者によってレイヤ名のつけ方まで異なるので、受注は国土交通省だけではない受注者たちは異なる基準を覚えなければならないのです。  
   
  Aについて】  
  一般に基準に全て従わなくてはならないという考え方がありますが、法律でも解釈の仕方があるようにCAD製図基準にも解釈の仕方があったり、基準通り作成すると不便な場合があります。これを私たちは「CAD製図基準(案)による製図をした場合の不具合」として取上げたいと思います。  
  ここに例を挙げると、  
   図面の枠やタイトル枠の色は『黄色』に指定されています。基準では図面を閲覧するのはコンピュータの画面上と想定されているのでしょうが、設計上のチェック時や施工現場では、いちいち図面を確認するためにPCを起動するより、図面を出力した方が遥かに便利な時もあります  
  図面を出力した場合には皆さんもご存知の通り、黄色に指定されている線などは非常に読みづらいものです。  
  つまり、電子納品は保存のため、データの活用という面では統一化されて有用なものとなりますが、現場での活用面から言えば少し不便なところもあるということになります。  
   
  したがって弊社では、皆様からの電子納品の依頼がある場合は、「基準に全て従うべきなのか」、「便利に活用できるものとするべきなのか」、ということを発注者と協議を行うことをお勧めしています。  
   
   
  Bについて】  
  国土交通省の電子納品する図面においては『SXF』というCADの共通フォーマットに変換することになっています。  
  この『SXF』への変換こそ電子納品最大の難関であると私たちは考えています。  
   
  ではどのようなところが難関なのか、簡単に説明しましょう。  
   
    【SXF変換の難関な部分】  
  (1) CADで作成したデータがSXF変換によって欠損・変形してしまう。  
  ・CADを正しく扱われていない場合(特性を把握していない場合)。  
  ・他人(外注先など)からもらったデータなどを変換する時。  
   
   自分の使っているCADからSXFへ変換する際に線が欠損したり、変形してしまうことがあります。これらは使用しているCADしかできない特殊機能を利用していたり、SXFの考え方が異なることによって機械的に起こってしまう不具合であり、我々一般のCADユーザーではどうにもできないことであります。  
  対処方法としては、どのような場合に変換がうまくいかないか把握する必要があります。(図面の書き方によって変換結果が異なることもあります。)  
   
     
  SXF変換の大原則「線の欠損・変形がない。」ようにすることですが、
それが非常に難しいのです。
 
     
   
  (2) 変換時に様々な変換設定を行わないと作成した図面と見栄えが変わってしまう  
   
  SXF変換の大原則である、線の欠損・変形がなくても変換によって苦労して作成した図面も見栄えが変わってしまい発注者の評価を下げることもあります。  
  見栄えに関しての現状は、図面によっては完璧にできることが非常に大変な、特に労力のかかる作業となる場合があります。  
   
  (3) データの容量が大きくなり、管理しにくい。  
   
  ご存知の方もいらっしゃると思いますが、SXFファイルは通常のCADデータファイルよりもファイルサイズが大きくなります。(P21では約10倍、SFCでは約2倍)  
   
   
   
   
   
   電子納品の1つの目的として「コスト縮減」というものがありますが、コスト縮減はできるものとできないものがあると思います。  
  どの部分をコスト縮減してどの部分を便利に活用にするかは、発注者との協議に全てかかわってくるものであり、特に電子納品が始まった今こそ発注者と協議し、より有効な電子納品を行ってうための方策を考えていきたいものです。  
   
   
   
   
   
   
  この記事に関する質問や意見がありましたら、弊社担当(加賀屋)までお問合せください。